本のある暮らし

読書ブログ

【本紹介】子どもたちは夜と遊ぶ

こんばんは。

激動の2020年が終わり、2021年を迎えましたね。

ニュースでは、「ウイルスに年末年始はない」という話が出ていましたが、

今でもまだまだ増加しています。

一人一人が、自分のためにも、そして周りの人たちの為にも

行動を考えなければなりません。

 

 

さて、今年の年末年始は、実家に帰らず一人で過ごしていました。

大学生から一人暮らしを始めましたが、初めてのことです。

いつも年末年始は実家に帰っていたので寂しかったですが、

やりたいと思っていたことが沢山出来ました。

部屋の掃除、読書ノートの整理、お菓子作り、読書。

普段ならできないことが全て出来て、なんだかんだで充実した休みでした。

ただ、この年末年始を過ごして、私自身は一人が好きだと思っていましたが、

案外そうでもないかも、ということに気付くことが出来ました。

確かに、一人の時間は必要です。

でも、一人でいすぎるのもしんどいなぁと感じました。

誰かといる幸せというのも、やはり大切ですね。

 

 

 

前回の記事で紹介した凍りのくじらを読んでから、

私の中で辻村深月週間に入っています。

昨日も、ブックオフのセールに行ってたくさん買ってしまいました。

今日の作品は、『子どもたちは夜と遊ぶ』。

ミステリーとホラー要素を含んでいますが、

様々なことを考えさせられる作品です。

 

 

 

 

 子どもたちは夜と遊ぶ 辻村深月 講談社文庫(上・下)

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

内容

ーーー

 

 

『藍、逃げて!藍、にげて!あい、にげて!あい…。』

 

藍色の記憶の中でこだまする、兄との記憶。

いつまでも消えない過去が、孤独へと陥れる。

 

 

 

大学受験を間近に控えた少年が、突然姿を消した。

家出ではないか、そう噂される中で母の必死の訴え。

少年は生きているのか、それとも…。

 

そして、その事件を皮切りに始まる二人の少年のゲーム。

それは、殺人ゲームだった。

 

『i』

 

君に会うためなら、僕は何だってする。

見えない兄、『i』に会うためにゲームに参加する木村浅葱。

さあ、次は俺の番ーーー。

 

 

一方通行の片思いが目覚めさせた冷酷な殺人鬼『i』の正体とは…。

 

 

想像を絶する過去、そして孤独の闇は、

大人になりきれない子供たちを巻き込み、

残酷な結末を下す。

 

 

 

 

 

ーーー

感想

ーーー

 

 

 

・壮絶な過去と、孤独

 

この作品では、木村浅葱の壮絶な過去が綴られています。

それは、想像を絶するような、孤独に満ち溢れた過去。

 

この作品を読んでいて、こんなことがあってほしくはないけど、

現実でももしかしたら知らないだけで起こっているのか…と思いました。

自分の世界の狭さ、視野の狭さを思い知らされます。

私は、よく言えば幸せに、悪く言えばのうのうと生きてきたなと

この作品を見て思いました。

自分の周りの人間も、知らないだけで誰にも言えないような過去や

思い出したくもない過去を持っているかもしれない。

そう思うと、やるせない気持ちになり、この気持ちさえも偽善なのかな

と落ち込みました。

 

本の中の世界でしか体験はできない。

でも、もし現実でも起こっているのであれば、目を背けるわけにはいかない。

そう思いました。

 

 

 

・あるべき、希望

 

 

この作品の中に登場する、石澤恭司の言葉で好きな言葉があります。

 

何て言うのかな。大好きで、泣かせたくない人を一人作っておくんだ。二十歳もとっくに過ぎた男が何を恥ずかしいことをって浅葱が笑いたいんなら笑ってくれていいんだけどさ。俺、これだけは譲れない。そうしないと駄目なんだって、昔、気付いた。でないと生き方がどんどんデタラメになって、だらしなくなる。俺、怖いよ。自分が何に対しても夢中になれない、執着できないっていう今の状態。 

 

ー中略ー

 

人間てのは、大好きな人が一人は絶対に必要で、それを巻き込んでいないと駄目なんだ。そうでないと歯止めがかからない。

 

 

 

時折、人生のすべてを投げ出してしまいたくなる時があります。

家族も、友達も、今の仕事も、住んでいる場所も、彼氏も、すべて。

自分のことを誰も知らない、今まで行ったことも知りもしない場所に行って

1人になってしまいたい。

そう思う時があります。

でも、多分私たち人間にとっての希望って、同じく人間なんですよね。

どんなに良いものを買ったって、どんなにおいしいものを食べたって、

きっと、自分を必要としてくれる人には敵わない。

 

人は時に私たちを縛るけれど、人との関りの中で「自由」を得るときもあります。

 

趣味を持つこと、好きなことを仕事にすること。

それらも私たちの生活に潤いを持たすのは間違いないですが、

一番はやはり人との関りで、何としても大切にしたい人がいることではないでしょうか。

それは、彼氏彼女に縛られず、家族であったり、親友であったり、様々だと思います。

 

『この人だけは、失いたくない』

 

そう思える人がいるだけでどれだけ生きる活力になるか。

私たち人間にあるべき希望は、人との関りの中で生まれるのかもしれないと

今回の作品を読んで思いました。

 

 

 

 

ーーー

最後に

ーーー

 

 

今回の作品は、ホラー要素もあって正直怖いです。

殺人現場の様子が、生々しく書かれているため、ホラーが苦手な人は

少し読むのが辛いかもしれません。

私も、実はいうとホラーが苦手で、この本を読み終わった日は

夜怖くて眠れませんでした…(笑)

 

それでも、人の過去がもたらす生き方や考え方、大人とは何なのか、

生きるとは何なのか、様々なことを教えてくれる作品です。

 

ミステリー要素もあって、今回で読んだのは二度目でしたが

理解するのに時間がかかりました。

途中まで、完全に騙されていたし、騙されていたからこそ、

最後が悲しい。

 

 

 

 

ぜひご一読ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。