本のある暮らし

読書ブログ

【本紹介】捨てればいいってもんじゃない

こんにちは。

今日で1月も終わりですね。

2021年を迎えてからあっという間の一か月でしたが、

皆さんにとってどんな一か月でしたか?

 

私にとってこの一か月は、心境の変化が大きい一か月でした。

これまではどこか他人に合わせた人生を送っていて自分を大切にできていませんでしたが、今年に入ってからは自分を大切にすることを一番の目標としています。

また、自分の中にあった理想像を社会人になってから『自分には無理なんだ』と

諦めていましたが、一度しかない人生なんだから諦めたくないと思えるようになりました。

 

ちなみに、私の理想像っていうのが、見た目がジャケットに細身のパンツを着こなして、さっそうと歩く女性。優しさの中にも心がある女性。明るいオフィスで働く。

すごくざっくりとだけど、こんな感じです。

服装も、場所も、気分の上がるような居場所で仕事がしたいと思っています。

その中で、文章を書くというお仕事が出来ていたら更にいいなぁと思っています。

 

今の仕事場も嫌いではないけど、どこか暗さを感じさせ、周りに影響を受けやすい私は

無口で表情も乏しくなります。

以前、同期から『コピー機の前で死んだ顔しとるのと、卓球しよるときの渚が同一人物やと思えん』と言われました。

これまで他人軸で生きてきましたが、これからは自分を大切にして、

自分軸で生きていきたい。そのために自分に向き合う一年にしよう。

そう思っています。

 

 

 

さて、『自分軸』という言葉が出てきましたが、どれだけの人が自分軸で

生きているでしょうか。

自分は他人に流されやすい、と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

 

実際、私もその一人です。

 

飲み会に誘われたら、行きたくなくても断れない。

頼みごとをされたら、『大丈夫』と言って引き受けてしまう。

言いたいことがあってもグッとこらえて、笑って過ごしてします。

 

今までこうやって生きてきたから、大切な『自分の気持ち』を感じ取れなくなり、

 

・嫌われたらどうしよう

・傷つけたらどうしよう

・いい人だと思われたい

 

こんな思いばかりが先走ってしまうようになりました。

だから、私は自分の気持ちというのがよく分かりません。

 

モノに対しても同じ。

なぜ、これが欲しいのか。

これを持つことでどんな自分になりたいのか。

そう言ったことが分からなくて、あまり使いもしないものを買ってしまったり

することがあります。

だから、私は学生の時、『片付け』が凄く苦手でした。

モノをたくさん持つことで、自分を満たそうとしていました。

 

社会人になった今ではだいぶ収まりましたが、今でもたまに

衝動買いをしてしまうことがあります。

 

 

 

今回紹介する本を読んでまず思ったのが、自分の気持ちに何度でも向き合うということ。分からないからとスルーせずに、分かるまで根気強く向き合う。

モノを通して、自分軸を見つけていきたい。そう思いました。

 

 

大人気インスタグラマー、エヌケンさんの初書籍。

モノを通して得た自分軸、暮らしのルーティン化による無駄の削減、

そしてシンプリストになったことで叶えた夢。

エヌケンさんのこれまでと今がギュッと詰まった一冊です。

 

 

 

 捨てればいいってもんじゃない エヌケン KADOKAWA

 

 

 

 【内容】

 

理想の暮らし。

それは、物の数へのこだわりではなく、

『気分や自分自身を高めてくれたり、理想の暮らしを叶えてくれるモノ』

に囲まれた生活。

 

シンプリストの根底にはミニマリストの考え方がありますが、この二つには

大きな違いがあります。

ミニマリストは、なるべくモノは持たずに必要最低限のモノで生きることで人生を豊かにすることを目的としています。

 

では、シンプリストは?

 

ミニマリストもシンプリストもモノを少なくしてシンプルな生活を送るのは同じ。

大きな違いは、物の数に関係なく自分の好きなものは残すということ。

 

シンプリストは、物の数にこだわらず、暮らしの要素を単純化して効率のいいライフスタイルを目的としています。

たとえば、生活のルーティン化や片付けの仕組みかなど。

 

モノを持つときにも、自分はなぜこれを持つのかというのを考え、

自分の身の回りにはお気に入りの、言い方を変えれば『一軍』だけを

置くようにします。

そうすることで自分の目にはお気に入りばかりが入り、気分も上がる。

生活の質も上がり、自分に自信を持つことが出来る。

 

今やブームとなっているシンプルな暮らし。

きっと、ミニマリストに憧れた人もいるでしょう。

そこにもう一つ、シンプリストという考え方を入れると、

更に素敵な人生が送れるかもしれません。

 

エヌケンがシンプリストになるまでの道のりや考え方、そしてシンプリストになったことで得たものが沢山詰め込まれた一冊です。

 

 

 

 

【感想】

 

・『他人軸』から『自分軸』へ

 

今ではインスタやYouTubeの人気が高騰していますが、エヌケンさんの努力は凄まじいなと思いました。自己分析や自己投資が本当に的確です。

 

そんなエヌケンさんでも、他人軸で生きていた時期があったそうです。

具体的には、服が好きでコーディネートをよくインスタに上げていたけど、

根本的なところでは、ブランド物を身に付けることで周りから称賛されることに快感を覚えてしまったということ。いつからか、周りからの称賛を得るために、たくさんの服を買っていたそうです。

これは、SNSで投稿をしている人が陥りやすいんだろうなぁと思いました。

私たちは大人になると、褒められることが少なくなります。

SNSだと手軽にいいねが押せて、それは本人にとってたくさんにの人に認めてもらえたという自信になる。でも、それがないと不安になってしまう人もいるのでしょう。

 

『誰かの期待に応えるため』

 

この考え方はありがちだけど、他人の為に頑張るのは他人軸です。

私自身も、先に述べたように他人軸で生きてきました。

それは、今でもまだ解消されていません。

 

でも、モノ1つ1つを通して自分を見つめていくことで自分軸を育てられるのであれば、時間はかかるかもしれないけど自分にもできるかも?と思いました。

これは、人間関係だと難しいですが、モノであればじっくりと考えることが出来ます。

 

なぜ、これが欲しいのか。

これを持つことで自分はどうなりたいのか。

 

そういったことを一つ一つ考え、自分と丁寧に向き合って、自分の意思を大切にしていこうと思いました。

 

 

 

 

・シンプリストになったことで叶えた夢

 

今では本業とインスタで生計を立てているというエヌケンさん。

好きなことで生きていて充実していて羨ましいなと思いましたが、

その裏では努力がありました。

暮らしのルーティン化によって無駄をなくし、朝早起きして勉強する。

自己投資をして自分を磨き上げる。

そうやって自分と向き合い続けたことで、エヌケンさんは夢を叶えたそうです。

 

以前の私であれば、夢があるだけでいいなぁと思っていました。

だって、自分には夢なんてなかったから。

なんの行動もせず、自分とも向き合おうとせず、夢なんてと言って

諦めていました。

 

この本を読んで、行動しなければ夢が叶うどころか見つけることもできないと思いました。

行動しなければ知識も得られませんし、何も変わりませんから。

たくさんのことに触れることで自分がやってみたいと思えることと出会えるかもしれない。

そう思わせてくれました。

 

今の私の夢は、いつか文章を書くお仕事をすること。

ライターなのか小説家なのかはたまた別の何かなのかはわかりませんが、

『いつか』とばかり言ってないで行動をしていこうと思います。

 

 

 

 

【最後に】

 

この本を読んで初めて知ったシンプリストという考え方。

きっと、私の知らないことがまだまだ沢山あるんだろうなぁと思いました。

 

これまで生きてきた中で築き上げた『固定概念』に縛られず、

たくさんのものに触れて、自分を磨き上げて、沢山の行動をしていこうと思います。

 

そして、モノを通して自分軸を見つけ、自分らしく生きていけるように

なりたいと思います。

 

 

ぜひ、おうち時間のお供にしてみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。。

 

 

 

 

 

 

【本紹介】子どもたちは夜と遊ぶ

こんばんは。

激動の2020年が終わり、2021年を迎えましたね。

ニュースでは、「ウイルスに年末年始はない」という話が出ていましたが、

今でもまだまだ増加しています。

一人一人が、自分のためにも、そして周りの人たちの為にも

行動を考えなければなりません。

 

 

さて、今年の年末年始は、実家に帰らず一人で過ごしていました。

大学生から一人暮らしを始めましたが、初めてのことです。

いつも年末年始は実家に帰っていたので寂しかったですが、

やりたいと思っていたことが沢山出来ました。

部屋の掃除、読書ノートの整理、お菓子作り、読書。

普段ならできないことが全て出来て、なんだかんだで充実した休みでした。

ただ、この年末年始を過ごして、私自身は一人が好きだと思っていましたが、

案外そうでもないかも、ということに気付くことが出来ました。

確かに、一人の時間は必要です。

でも、一人でいすぎるのもしんどいなぁと感じました。

誰かといる幸せというのも、やはり大切ですね。

 

 

 

前回の記事で紹介した凍りのくじらを読んでから、

私の中で辻村深月週間に入っています。

昨日も、ブックオフのセールに行ってたくさん買ってしまいました。

今日の作品は、『子どもたちは夜と遊ぶ』。

ミステリーとホラー要素を含んでいますが、

様々なことを考えさせられる作品です。

 

 

 

 

 子どもたちは夜と遊ぶ 辻村深月 講談社文庫(上・下)

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

内容

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『藍、逃げて!藍、にげて!あい、にげて!あい…。』

 

藍色の記憶の中でこだまする、兄との記憶。

いつまでも消えない過去が、孤独へと陥れる。

 

 

 

大学受験を間近に控えた少年が、突然姿を消した。

家出ではないか、そう噂される中で母の必死の訴え。

少年は生きているのか、それとも…。

 

そして、その事件を皮切りに始まる二人の少年のゲーム。

それは、殺人ゲームだった。

 

『i』

 

君に会うためなら、僕は何だってする。

見えない兄、『i』に会うためにゲームに参加する木村浅葱。

さあ、次は俺の番ーーー。

 

 

一方通行の片思いが目覚めさせた冷酷な殺人鬼『i』の正体とは…。

 

 

想像を絶する過去、そして孤独の闇は、

大人になりきれない子供たちを巻き込み、

残酷な結末を下す。

 

 

 

 

 

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感想

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・壮絶な過去と、孤独

 

この作品では、木村浅葱の壮絶な過去が綴られています。

それは、想像を絶するような、孤独に満ち溢れた過去。

 

この作品を読んでいて、こんなことがあってほしくはないけど、

現実でももしかしたら知らないだけで起こっているのか…と思いました。

自分の世界の狭さ、視野の狭さを思い知らされます。

私は、よく言えば幸せに、悪く言えばのうのうと生きてきたなと

この作品を見て思いました。

自分の周りの人間も、知らないだけで誰にも言えないような過去や

思い出したくもない過去を持っているかもしれない。

そう思うと、やるせない気持ちになり、この気持ちさえも偽善なのかな

と落ち込みました。

 

本の中の世界でしか体験はできない。

でも、もし現実でも起こっているのであれば、目を背けるわけにはいかない。

そう思いました。

 

 

 

・あるべき、希望

 

 

この作品の中に登場する、石澤恭司の言葉で好きな言葉があります。

 

何て言うのかな。大好きで、泣かせたくない人を一人作っておくんだ。二十歳もとっくに過ぎた男が何を恥ずかしいことをって浅葱が笑いたいんなら笑ってくれていいんだけどさ。俺、これだけは譲れない。そうしないと駄目なんだって、昔、気付いた。でないと生き方がどんどんデタラメになって、だらしなくなる。俺、怖いよ。自分が何に対しても夢中になれない、執着できないっていう今の状態。 

 

ー中略ー

 

人間てのは、大好きな人が一人は絶対に必要で、それを巻き込んでいないと駄目なんだ。そうでないと歯止めがかからない。

 

 

 

時折、人生のすべてを投げ出してしまいたくなる時があります。

家族も、友達も、今の仕事も、住んでいる場所も、彼氏も、すべて。

自分のことを誰も知らない、今まで行ったことも知りもしない場所に行って

1人になってしまいたい。

そう思う時があります。

でも、多分私たち人間にとっての希望って、同じく人間なんですよね。

どんなに良いものを買ったって、どんなにおいしいものを食べたって、

きっと、自分を必要としてくれる人には敵わない。

 

人は時に私たちを縛るけれど、人との関りの中で「自由」を得るときもあります。

 

趣味を持つこと、好きなことを仕事にすること。

それらも私たちの生活に潤いを持たすのは間違いないですが、

一番はやはり人との関りで、何としても大切にしたい人がいることではないでしょうか。

それは、彼氏彼女に縛られず、家族であったり、親友であったり、様々だと思います。

 

『この人だけは、失いたくない』

 

そう思える人がいるだけでどれだけ生きる活力になるか。

私たち人間にあるべき希望は、人との関りの中で生まれるのかもしれないと

今回の作品を読んで思いました。

 

 

 

 

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最後に

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今回の作品は、ホラー要素もあって正直怖いです。

殺人現場の様子が、生々しく書かれているため、ホラーが苦手な人は

少し読むのが辛いかもしれません。

私も、実はいうとホラーが苦手で、この本を読み終わった日は

夜怖くて眠れませんでした…(笑)

 

それでも、人の過去がもたらす生き方や考え方、大人とは何なのか、

生きるとは何なのか、様々なことを教えてくれる作品です。

 

ミステリー要素もあって、今回で読んだのは二度目でしたが

理解するのに時間がかかりました。

途中まで、完全に騙されていたし、騙されていたからこそ、

最後が悲しい。

 

 

 

 

ぜひご一読ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

【本紹介】凍りのくじら

こんばんは。

昨日までの寒さは少し和らぎましたが、

さすがに寒くなりましたね。

室内と室外の寒暖差が激しいため、

体調管理にはなお一層気を付けないといけない…。

 

 

 

ここ数日、どうしても誰とも話したくない日が

続いていました。

でも、孤独を望んでいるわけではないんです。

 

1人でいたいけど、一人でいたくない。

誰かと話すのはしんどいけど、誰かと一緒にいたい。

 

そんな、何とも言えない感情を心に抱えていました。

 

 

 

この感情は今回に限ったことではなく、たまに私の

心を覆います。

多分、一人じゃないことを知って安心したいのでしょう。

 

1人暮らしなので、誰かと一緒に居ることが叶わないことのほうが

多いですが、そんな時は本を読みふけります。

本はいつだって寄り添ってくれる。

今年は年末年始もコロナウイルスの影響で実家に帰らない予定なので、

年末年始に読む本をそろそろ準備しようと思います。

 

 

 

1人の私に寄り添い、感情を与えてくれた本を

ご紹介します。

 

 

 

凍りのくじら 辻村深月 講談社文庫

 

凍りのくじら (講談社文庫)

凍りのくじら (講談社文庫)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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内容

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“二代目” 芦沢光。25歳。

自然を取ることを中心に活動する新進気鋭のフォトグラファー。

 

 

「あなたの描く光はどうしてそんなに強く美しいんでしょう」

 

そう聞かれると、彼女は決まってこう答える。

 

「それは、暗い海の底や、遥か空の彼方の宇宙を照らす必要があるから。」

 

 

 

 

 

五年前、小学六年生のとき、父親が失踪した。

藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、先生の作品を愛していた父。

 

高校生になった理帆子は、どこにいても

“少し・不在”

そして、理帆子の母は

“少し・不幸”

 

父によく懐き、ドラえもんが大好きだった。

先生の一言でSFが好きになり、自分の中でいつも

“スコシ・ナントカ”と人の個性を表し、遊んでいた。

 

ある日、図書室で一人の青年から「写真のモデルになってほしい」

と依頼を受ける。戸惑いつつも、彼と関わっていくうちに

誰にも見せられなかった内面を見せていく理帆子。

そして、少しずつ迫っていた黄色と黒の警告。

 

 

人との関わり、家族との関わり、その中で見え隠れする人の本性。

それぞれに与えられた“道具”の中で、それらが私たちを照らすとき、

人は本当の意味で「自分」を知る。

 

 

 

 

 

 

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感想

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・様々な“光”と“影”

 

人は誰しも、光と影を持ち合わせていると私は思っています。

そして、光の部分が多いと願い、影の部分と葛藤する。

自分の弱さ、不甲斐なさを他人に見せぬよう、必死に取り繕い、

歯を食いしばる。

 

 

本作の中で、理帆子の母は癌により長い闘病生活を送っています。

あまり上手くいってなかった理帆子と母。

日に日にやせ細っていく姿を見て、理帆子が何度も恐怖と戦い、

涙を隠すシーンがあります。

私はすぐに泣いてしまうので理帆子に対して

「もっと素直になってよ」

と言いたかった。

影の部分、自分の弱さを周りに見せてよ、と。

 

そして、更に強い影を持つ理帆子の元カレ、若尾。

だんだんと本性を現す若尾に対して、恐怖心を抱きながらも

きっと現実にも若尾のような人がいるのだろうと思いました。

自分の弱さを認められず、傷つくことに恐怖を抱いている。

人を馬鹿にすることでしか、自分を保つことが出来ない。

 

愚か、と思いつつも、自分自身はそうなっていないだろうか?

と振り返りました。

若尾ほどではないにしても、心の中で小さく、気付かないほどに

人との関わりを疎かにしていなかっただろうか。

そう思いました。

 

 

誰もが持つ、光と影。

光の部分が強くなれば、自然と影も濃くなってゆく。

光ばかりに目を向けるのではなく、影の部分にも目を向け、

きちんと向き合っていきたいと思いました。

 

 

 

 

・理帆子の母

 

先ほども述べたように、理帆子の母は癌により約二年の

闘病生活を送ります。

ある日、出版社の飯沼という男性が、母の元を訪れます。

 

「芦沢さんの代表作となるような作品集を作りたいと思っています。」

 

 

理帆子と母の間でも、話すことさえなかった父親の写真集。

断るかと思っていた母は、それを引き受けます。

 

そして最後、出来上がった作品を見て、理帆子は涙を流します。

 

母からの、父と理帆子へのメッセージ。

女性として、母として、妻として、生涯を生きた母「汐子」の

メッセージが胸に刺さりました。

 

 

いつか、人は命の灯を失います。

大切な人の灯が消えるとき、後悔しないために、

当たり前と思わず一緒に居られる時間を大切にしよう。

そう思いました。

 

 

 

 

 

ーーー

最後に

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人間は、美しくもあり弱い生き物。

感情の少なかった理帆子が、だんだんと感情的になっていくのが

とても印象的でした。

 

 

凍りのくじらを読んだのは、今回で二回目になります。

以前読んだときにはラストシーンに感動しましたが、

今回はまた違ったシーンで涙を流しました。

 

同じ本を読んでも、その時の自分の状況、環境によって

胸に刺さるシーンが変わってきます。

 

 

 

だから、何度も読みたくなってしまう。

感情の起伏の少ない私が、唯一生きていると実感できるのが

本を読んでいる時間です。

 

 

 

辻村深月さんは、私の中で一番好きな作家さんで、

全ての本を読みました。

これからまた、辻村深月さん期間に入りそうです。

 

 

ぜひ皆さんも辻村深月さんの作品を一度読んでみてください。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

 

【本紹介】ちょっと今から仕事辞めてくる

こんにちは。

今日は一日仕事も休みで、朝から掃除したり、

本屋さんに行ったり、ビジネスの勉強を進めたり。

休みで、しかも晴れているとそれだけで気分がよくなってしまいます。

 

朝の時間がゆっくりと流れる部屋の中。

陽が部屋に差して温かくなる部屋の中。

少しずつ暗くなって、落ち着いた雰囲気を出す部屋の中。

 

そして外に出れば、少し冷たいけど外の空気が気持ちいい。

 

 

私の今の環境は恵まれているなと本当に感じます。

『自分の時間』がちゃんと取れるから。

それさえも叶わない人がいるのが、現代の実情です。

 

 

もし、今仕事で体力的にも精神的にも辛い思いをしている方。

もう消えてしまいたいとさえも考えてしまう方。

もしそんな方がいるなら、私はこの本の中の言葉を借りて、

こう問いたい。

 

 

「あなたにとって、会社を辞めることと、死ぬことは、どっちのほうが簡単ですか?」

 

 

 

 

ちょっと今から仕事辞めてくる 北川恵海 メディアワークス文庫

 

 

 

ちょっと今から仕事やめてくる

ちょっと今から仕事やめてくる

  • 発売日: 2017/12/01
  • メディア: Prime Video
 

 

 

 

 

ーーー

内容

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そこそこ名の通る大学をストレートで卒業。

サラリーマンに憧れなんてなかったけど、超一流企業から

内定をもらって、超一流企業に勤めることが僕らにとって

大切なステータスだった。

 

 

青山隆は、中堅の印刷関係の会社で働く。

毎日サービス残業、休日出勤当たり前。

毎日上司からの暴言が飛び交い、休みの日にトラブルが起これば

激高する上司から電話がかかってくるなんて日常茶飯事。

所謂、ブラック企業に勤めていた。

毎日に押しつぶされそうになりながら、辞めたいと思いながらも、

毎日毎日耐えていた。

 

ある日、隆はいつものように会社の帰りに電車に乗ろうと

ホームで待っていると、また上司から電話が。

 

「もういい。もう帰ろう。帰って寝よう。」

 

そう考えていたが、なぜか訳の分からないことを考え始めた。

 

“眠ってしまうと今日が終わる。

目覚めたときには、もう明日だ。

家に帰っても眠りたくないならいっそ、ここで寝てしまおうか。”

 

ゆっくりと目を閉じると、頭の中がふわふわしてくる。

地面もふわふわして、このまま気を失えばホームに落ちるかな。

 

“そうしたら明日、会社に行かなくても済むかな。”

 

 

そう考えていると、突然誰かが自分の腕をがっちりつかんだ。

驚いて振り返ると、そこには見知らぬ男が。

 

 

“久しぶりやな!俺や、ヤマモト!”

 

 

俺はこいつとどんな関係だろうか。

思い出しても、記憶の中にヤマモトという男はいなかった。

 

ヤマモトとの出会いは隆自身を、そして人生をも変える

運命の出会いとなる。

 

 

 

働く人すべての人に贈りたい。

スカッとしながらも、最後は泣ける一冊。

 

 

 

 

 

 

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感想

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・働くとは、生きるとは

 

私たちは、働くことでお金を得ている。 

お金がなければ、生きていくことさえもできない。

だから、世の中の人の多くは、嫌なことや理不尽なことがあっても

我慢して、ぐっと飲みこんで、笑顔でやり過ごす。

 

私の勤めている会社は、有難いことにブラック企業ではありません。

恵まれている環境だと思います。

それでも、理不尽なことは沢山起こる。

 

自分がミスしたわけでもないのに、客先や会社の中の人にさえに謝らないといけない。

時には怒られたり、嫌みを言われたりする。

 

確認しなければいけないことを聞いただけなのに、明らかにイラつかれる。

 

こんなことはよく起こります。

それでも耐えてきたのは、社会人なんて皆一緒で我慢しているし、

もっと辛い環境の中で働いている人がいるから。

現に、私のすぐ近くに、ブラック企業で勤めている人がいます。

だから、こんないい環境で嫌だのしんどいだのいっていてはだめだ。

 

いつもそう思っていました。

もちろん生きていれば辛いことはあるし、堪えないといけない場面もあります。

でも、精神的に崩れてしまいそうになった時、そこまでしてその会社に

いる意味はあるのか?本当にそこでしか生きていけないのか?

そう考えるようになりました。

 

正社員が当たり前。

そんな考えが世の中に浸透していますが、正社員じゃなくても

生きている人は沢山います。

世の中にその会社しかないわけでもなく、外に目を向ければ

沢山の会社があります。

今であれば、自分で稼ぐスキルを身に付ける場所だってどこにでもある。

簡単なことではないけれど、自分の人生なんだから自分の好きなように生きればいい。

 

命よりも大切な仕事なんてない。

 

そう思わせてくれました。

 

 

・二人のヤマモト

 

主人公の隆を助けた“ヤマモト”。

彼は、隆を助けたときに同級生と言って近づきますが、

実は同級生ではなかった。

では、なぜヤマモトは、見ず知らずの隆を助けたのか?

それは、彼の過去に関係してきます。

 

もし、目の前に死のうとしている人がいたら誰でも止めると

思いますが、どんな言葉をかけるべきなんだろう、と考えさせられました。

そして、頑張りすぎて崩れ落ちそうな人にどうすれば気付けるだろう。

 

 

私は、今でも後悔があります。

大切な人の、その時期に、その辛さに気付いてあげられなかった。

何度も何度も泣いて、自分を責めて、それでも周りはもっと頑張っているんだからと

自分を騙して。

周りには、もっと頑張れと言われ続けて。

もう、十分頑張っていたのに。もう、十分耐えていたのに。

 

少しづつ、だけど確実に崩れ始めていた心の変化に、気付くことが

できなかったんです。

話さないと分からないというのも事実です。

それでも、後悔してしまう。

 

 

ヤマモトが言った言葉の中で、一番心に刺さった言葉があります。

 

なあ、隆。お前は今、自分の気持ちばっかり考えてるけどさ。一回でも、残された者の気持ち考えたことあるか?なんで助けてあげられなかったって、一生後悔しながら生きていく人間の気持ち、考えたことあるか?

 

 

私は、残される側の気持ちを味わったときもあり、隆と同じ状態になってしまったこともあります。

自分の価値を見出せず、自分なんていてもいなくても一緒だと思って。

何度も消えたいと思って、母にそう伝えたこともあります。

 

自分のことしか、考えられなくなるんです。

頑張れと言われ続けて、一人で抱えてしまって、誰にも言えずに。

そして、行きつく先は広い空に解き放たれたい、そう考えてしまう。

 

 

あの時、自分の気持ちだけを考えて動かなくて本当に良かったと今でも本当に思います。

一番大切にしてくれた人を、一番大切にしたい人を、自分が一生の傷を負わせてしまう未来をつくらなくて本当に良かった。

 

 

逃げることは、悪いことでも恥ずかしいことでもない。

そう思わせてくれました。

 

 

ーーー

最後に

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働くこと、正社員でいること。

当たり前として世の中に浸透しているけど、あなたはそれで

本当に幸せですか?

当たり前の枠に、はまってでしか生きられないのですか?

 

あなたの人生は、あなたのものです。

誰にも決められないし、誰にも語ることはできない。

 

 

あなたがあなたの道を進みたいと思わせてくれる一冊です。

ぜひ、ご一読ください。

 

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

 

【本紹介】そして、バトンは渡された

おはようございます。

お久しぶりになってしまいました。

 

ここ最近、有難いことに仕事もプライベートも充実しており、

なかなか本を読む時間が取れませんでした。

充実してないから本を読む、ということでもないのですが。

ソーシャルディスタンスを保ちながら誰かといても、

ずっと誰かといるというのは私には少ししんどかったです。

1人が好きで、無音の部屋で一人本の世界に浸っているときが

この上なく心地いい。

その空間が心地いいと感じるとき、私は

『あぁ、疲れていたんだな』

と思います。

自分のメンタルを安定させる、そのくらい大切な時間なんだと

最近になって気付くことが出来ました。

 

 

 

さて、今日ご紹介する本ですが、先に少し感想を述べてしまうと、

読了した瞬間何とも言葉に表しにくい、だけど何となく

優しい気持ちに包まれている、そんな気持ちになりました。

ずっと気になっていたけど、積読になってしまっていた本。

なぜ今のタイミングで読む気になったのかは分からないけど、

何となく今読むべきだった本という感触がありました。

2019年に本屋大賞を受賞され、SNSでも多くの方が

ご紹介されている本です。

 

 

 

そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ 文春文庫

 

そして、バトンは渡された (文春文庫)

そして、バトンは渡された (文春文庫)

 

 

 

 

 

 

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内容

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森宮優子。17歳。

 

母の死、父の再婚、そして父の転勤。

幼少のころから大人の都合で何度も家族形態がかわってきた。

周りの人に困ったことや辛いことは話さないとよく言われるが、

優子はこう思う。

 

『困った。全然不幸ではないのだ。』

 

そう。優子は不幸ではなかった。

7回も変わった『家族』皆に愛されていたから。

それぞれの大人が、それぞれの形で愛を注いでくれたから。

 

 

時は立ち、彼女自身が『家族』を持つとき、

彼女は何を思うのだろうーーー。

 

 

 

 

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感想

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・家族の形

 

優子の、父や母との距離感。

『お父さん』と呼ばずに、父になる人たちを○○さんと呼ぶ

のは、家族でありながらもやはりどこか他人だからでしょう。

作中、唯一母親としてかかわった人物も、ずっと『梨花さん』

と呼んでいる。

 

これまでの人生で、家族が変わるというのを経験したことが

ありませんが、一度だけ友達に言われた言葉があります。

 

 

“お父さんとお母さんが試合に毎回見に来てくれているのが

凄く羨ましかった”

 

 

私は中学校から卓球をしていますが、父と母はスポーツ観戦が

好きで、よく二人で試合を見に来てくれていました。

父に関しては、観戦好きが高じて、遠征試合や練習試合に行くたびに

車を出してくれることもありました。

応援してくれて、試合のたびにビデオだって撮ってくれる。

当たり前、とまでは思っていなくて感謝の気持ちも伝えてはいましたが、

友達からの一言を聞いて、

 

『あ、私の今の環境は当たり前じゃないんだ。』

 

と思うようになりました。

 

人それぞれに家族の形があって、人それぞれ家族との

関わり方があります。

凄く家族と仲が良くて、たくさん遊びに行く。

仲はいいけど、あまり普段語ったりはせず、

良い距離感を保っている。

ちょっと、親とは仲良くないかも。でも、嫌いじゃない。

 

世間的に『良い家族』という理想像が独り歩きしているような

気がしますが、良い家族とはなんでしょう。

私からすれば、本人たちにとって適切な距離感であるのであれば

それが『良い家族』だと思います。

家族に当たり前なんてない、読んでそう思いました。

 

 

 

 

・向井先生の存在

 

作中で好きな登場人物の一人。

 

『その明るさは悪くないと思うけど、困ったことやつらいことは話さないとつたわらないわよ。』

 

先生や大人が良くも悪くも、よく言いそうなセリフ。

今でもそうですが、私自身はこの言葉を頂いても、あまりそういう話はしません。

話したところで変わらない、と思ってしまうから。

 

 

 

作中、高校の中で優子と友達の萌絵がケンカし、クラスメートにも

その影響が広がってしまうシーンがあります。

高校生の頃の、友達とケンカしたときの胸がざわめく感じ。

社会人になってから周りと正面から向き合うことが少なくなり、

あまり感じることがなくなった感情を久しぶりに味わいました。

 

このときも向井先生は優子に声を掛けますが、優子はこう言います。

 

“こういうの、時間が解決するし。今少し折り合いが悪くなっているだけで、

ほっておいてというか、その、まあ見守っててください。”

 

 

冷静というか、強いというか。

ああ、優子になりたいと思うと同時に、この言葉を受けて

優子の気持ちを尊重して見守った向井先生。

本当に時間が解決して、時間はかかったものの優子と萌絵は

仲直りします。

大人だからって、子供のことになんでも首を突っ込んでいいわけじゃない。

子供には、子供なりの解決方法がある。

 

 

最後、優子が高校を卒業する時、向井先生はクラス全員に手紙を配ります。

そんなことをするような先生ではなさそうだから、クラスの皆はざわめき、

手紙を読んで、自分のことをよく見てくれていたと言います。

大人というのは、私たちが気付かないだけでよく見てくれている。

それは逆もしかりで、子供たちも大人のことをよく見ています。

 

優子の手紙に書かれていた言葉が、向井先生の言葉の中で

一番好きな言葉です。

 

あなたみたいに親にたくさんの愛情を注がれている人はなかなかいない。

 

優子のありのままを受け入れ、優子の強さを受け入れた向井先生の言葉。

もっと大人になった時、向井先生のようになりたいとおもいました。

 

 

 

・それぞれの父親

 

血のつながった父親、水戸秀平。

二番目の父親、泉ヶ原茂雄。

三番目の父、森宮さん。

 

 

泉ヶ原さんは静かに、近くもなく遠くもない距離感で優子を見守り、

森宮さんはあれやこれやと『父親』という責任を果たそうと家事を行う。

でも、どの父親も無理をしているわけではなく、ただそれがその人にとっての

父親像であり、優子との良い距離感だったのだろう。

 

森宮さんとの生活が一番長かったわけだが、最後、優子の結婚式に

来ていた血のつながった父親、水戸秀平のことを優子は『お父さん』と

呼んでいる。

あぁ、そうか。

どれだけ離れていても、どれだけ会えなくても

やっぱりお父さんはお父さんなんだ。

そう思いました。

 

 

 

ーーー

最後に

ーーー

 

何度も家族の形が変わっても、名の通り優子の優しさは変わっていません。

それはきっと、どの家族も優子に対してたくさんの愛情を注いでいたから。

 

家族の在り方、人との関わり方。

自分の中にある固定概念をゆっくりと、じんわりと溶かしていってくれる

そんな作品でした。

 

 

 

 

P.S.

 

最近、ブログの書き方に迷っていていろいろ試していましたが、

なかなかしっくりこず…。

どんな風に書いたらいいのだろうと思っていましたが、

自分の好きなように書けばいいか、と自己完結してしまいました。

 

私は、私の為に書く。

だから皆さんも、自分の為に読んでください。

自分のペースで、読んでください。

 

 

 

 

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

【書評】“読みたいことを書けばいい” 田中泰延/自分に為に文章を書く

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こんばんは、渚です。





このブログを書き始めておよそ3か月が経ち、
本格的に『書く』ということについて勉強しようと
様々な本を読んできましたが、
心から、皆さんにお勧めしたいと思う本に出会いました…。






読みたいことを、書けばいいー人生が変わる、シンプルな文章術ー
田中泰延 ダイヤモンド社

読みたいことを、書けばいい。

読みたいことを、書けばいい。






ブログを書いている方や、
小説などを書いている方にお勧めしたい一冊です。










*『書く』ために本当に必要なこと*




本書の中で、
『テクニックは必要ない』と書かれているように、
文章を書く上でのテクニックやノウハウというのはほとんど書かれていません。
それよりも、文章を書く上での心構えなどの
『考え方』に関する部分が強く書かれています。





これまで私は人に響く文章を書くためにノウハウやテクニックも勉強してきましたが、
この本を読んで、一番大切なのは心構えや考え方ということを
強く感じました。






自分にとって書くことは『ただただ好きなこと』。
書くことによって、アウトプットすることによって
読んだ本に対する理解が更に深まる



それが、自分にとって何よりも楽しいし、嬉しい
更に本に向き合いたいと思う





本当に、そんな感じです。





ですが、ここで一度振り返ってみてください。



この本のタイトルは、

『読みたいことを、書けばいい。』




自分自身が

書きたいこと

ではなく

『読みたいこと』

を書く。





これを言われて、すぐにピンとくる方って
どれくらいいるでしょうか?





書くのが楽しいから書く。



あることについて、たくさんの人に伝えるために書く。






という気持ちも、凄く大切です。




では、そこからさらに


『読みたいことを、書く。』



とはどういうことでしょう?








この本を読んで、実践しても、
ブログでの収益は増やせないかもしれません
閲覧数だって、増えないかもしれません





でも、それ以上に大切なことを学べるはずです。






ー『読みたいことを書けばいい』から学ぶー

文書と文章は違う

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書きたい人がいて、読みたい人がいる(かもしれない)、それが「文章」なのである。

書きたい人がいて、読む人がいる文書のボリュームゾーンは「随筆」なのである。
(中略)
わたしが随筆を考察すると、こうなる。
「事象と心象が交わるところに生まれる文章」

事象とは、見聞きしたことや知ったこと。

そして、心象とはあらゆるモノ・コト・ヒト(事象)に触れたことによって生まれる書きたくなる気持ち。






このように、言葉を定義することで、ありとあらゆる本質が
はっきりしてきます。




そして、世の中の文章は、
上記で述べた随筆だけではなく、
事象を中心に記したもの
心象を中心に記したものもあります。




例えば、報道。
ただ単純に起こった事実を伝えれば
「事象を中心に記した文章」
になりますが、
起こった事実+それをみて思ったこと
を書けば、それは報道ではなくなります。




「事象と心象が交わるところに生まれるのが随筆」
という定義を見失って映画を評論すると、
事象寄りに触れてしまえば映画のあらすじばかり書く状態に陥るし、
心象寄りだと感想だけ書いて終わってしまう。

定義をしっかり持てば、自分がいま、何を書いているかを忘れることはない。


長い文章を書く際、この定義をはっきりさせておかないと
だんだん曖昧なものになってしまい、何を書いているかさえも
分からなくなってしまいます。




何かを書く上で、自分は今どんな立ち位置からこの文章を書いているのか
何度も確認していこうと思いました。





ターゲットは、想像しなくていい

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読み手など想定して書かなくていい。>>

その文章を最初に読むのは、間違いなく自分だ。



ありとあらゆる場面で見かける

『○○な女性に響く言葉』
『○○な男性を虜にする言葉』

これらは、いわいる「ターゲットを絞った文章」ですが、
特定の誰かに届けるというのは、とても難しい。


自分が書いて面白いと思える文章でなければ、
書いたことすら無駄になってしまいます。





さらに、この本ではこうも語っています。

つまらない人間とは何か。
それは、自分の内面を語る人である。

書くという行為において最も重要なのはファクトである。
ライターの仕事はまず「調べる」ことから始まる。
そして、調べた9割を棄て、残った1割を書いた中の1割にやっと
「筆者はこう思う」と書く。
つまり、ライターの考えなど全体の1%でよいし、
その1%以下を伝えるためにあとの99%が要る。
(中略)
調べたことを並べれば、読む人が主役になれる。



内面を語るばかりの人はつまらない。
実生活の中でも、あなたの周りにこのような人が
いるのではないでしょうか。


例えば、最近寒くなってきましたよね。
その時、
「今日に限って薄手のコート着てきちゃった~。さむ~い。」
なんて言われたら、あなたはどう思いますか?
もしくは、ランチの時に、
「うわ、キノコ嫌いなのに入ってる~。」
とか言われたら。


その人にとってはそうかもしれないけど、
こちら側からすれば「そうなんだ」としか思えないですよね。


これは、文章を書く上でも同じこと。



事象とは、常に人間の外部にあるものであり、
心象を語るためには事象の強度は不可欠なのだ。



この、事象の強度の為に、筆者は調べることの重要性
特に、1次資料にあたることの重要性を書いています。




まずは自分で調べて、そこから9割の資料を削る
そして、その1割の中に自分の意見を載せる




このスタンスをとることで
読む人が主役になれる
文章を書くことが出来るのです。




書くことは生き方の問題

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これまでに何度も触れてきたように
「書きたいことを書く」と
「読みたいことを書く」というのは
全く違います。




旅行に行って楽しかった思い出
カフェにいっておいしいものを食べたということ



これらは、基本的にその人が「書きたいこと」を書いたことで
「読みたいこと」を書いた文章ではありません。



もちろん、これを否定するつもりはありませんが、
「書きたいことを書く」というのは凄く楽なことです。
だけど、「読みたいことを書く」というのは本当に難しい。

最後に、こんな言葉が書かれています。

自分が読みたくて、自分の為に調べる。
それを書き記すことが人生を面白くしてくれるし、
自分の思い込みからも解放してくれる。
何も知らずに生まれてきた中で、わかる、学ぶということ以上の
幸せなんてないと、私は思う。

自分の為に書いたものが、だれかの目に触れて、その人とつながる。
孤独な人生の中で、誰かとめぐりあうこと以上の奇跡なんてないとわたしは思う。

書くことは、生き方の問題である。

自分ために、書けばいい。読みたいことを、書けばいい。


自分が読みたいと思える文章を書くことが大切になる
ということを改めて教えてくれました。


最後に

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誰かに認められるために書くとか、
わかりやすい文章を書くとか
そういうことではなく



「読みたいことを書く」




文中、クスっと笑えるような話もありながら、
ライターとしての覚悟、楽しさ、厳しさ
いろんなことを教えてくれる一冊。





多くの『書く人』に読んでほしい1冊です。




私もこれから『書く人』を目指す人間として、
この本を胸に刻んで努力していきたいと思います。




最後まで読んでいただきありがとうございました。



ビジネスの根底にある共通の思い

こんばんは。


もう11月ですね。
今日は午前中に外出していましたが、11月とは思えないほど暖かくて
びっくりしました。
体調管理をしっかりして、風邪をひかないようにしたいと思います。



最近、ビジネスの勉強を始めましたが、そもそもビジネスとはなんだ?と思い始めました。
今よりもお金を得ること、時間を得ることを目標にしていて、本当にうまくいくんだろうか…。
そんな悩みを抱えていました。

結論から言うと、多分、上の考え方のままビジネスを始めていても、私は何も得られなかったと思います。
それどころか、今よりも苦しい生活をしていたかもしれません。

今回は、ビジネスを始めるにあたって大切な考え方に気付かせてくれた本を紹介します。






キッチンで読むビジネスのはなし 一田憲子 KADOKAWA







【内容】


暮らし、雑貨、ファッション、製菓。
さまざまな分野でビジネスをはじめた11人の社長のお話が綴られています。

11人の社長や成功も失敗も含めた紆余曲折を赤裸々に語った本。
中でも、今のビジネスを始めた経緯やビジネスにおける考え方が書かれており、
実際に社長に会って話を聞いているかのような感覚になります。




11人の社長全員が共通してもっている考え方。
それは 『自分の好きなことで誰かの困った!を解決する』ということ。


好きなことを仕事にしたいと考えている人は多くいると思いますが、
ビジネスにつなげられない大きな違いはこの視点があるかないかでしょう。
私の好きなことは、どんな人のどんな困ったを解決できるのか?
その手段は?最終的に、お客さんにどんな状態になっていることがゴールなのか?


好きなことを好きなことで継続していくことは趣味で、それも一つの選択肢です。
ただそこからビジネスにつなげようと思うと、相手を思いやる気持ちが必ず必要になってきます。


まだ目に見えないお客様が、どんなことに困っているのか。
どうすれば解決できるのか。手段はどのようにするのか。

凄く大変なことではありますが、リサーチは必ず必要となるでしょう。



今の世の中でどんなことが求められているのかを察知し、自分の好きなことをそこに繋げるためには
やはり広い視点と努力が必要になってきます。



ビジネスとの向き合い方や、お金との向き合い方を教えてくれる一冊となっています。







【感想】


上記でもお話したように、私はビジネスを勉強し始めたころは、
もっと時間が欲しいということしか考えていませんでした。
会社という場所に縛られ、8時間という長い間拘束され、周りの人にも気を使わないといけない…
自分にとって、皆が当たり前に行っている
『会社で働く』
ということが、苦痛でしかありませんでした。
だから、自分の今の状況を解決するための手段として、ビジネスを学び、
自分で稼ぐ力を身に着けようとしていました。
自分のことしか、考えられていなかったのです。


ビジネスは、誰かの困ったを解決するからこそ成立する。
世の中のどんな仕事だって同じですよね。
困っている人がいるからこそ、世の中に数えきれないほどある仕事は成立しています。



ただ、世の中に数ある会社というのは、『利益を上げる』ということを一番の目的としています。
利益を上げるために価格競争をしなければならず、その競争勝てないと売り上げをあげることはできない。
だから、社員になるとどんなにしんどくても働かないといけない。



…そんな働き方で、誰かの困った!を解決できるのでしょうか?



時間に追われ、納期に追われ、最終的にはとにかく納品することが一番の目的となってしまい、
大切なことが疎かになっているのではないか、と社会人2年目にして感じてしまっています。





この本の中で、大好きな言葉があります。


何かのために頑張るより、ワクワクファーストのほうがいい

キッチンで読むビジネスのはなし 一田憲子 KADOKAWA (P.270)





愛媛県大洲市で「Sa-Rah」という洋服屋さんを営む帽子千秋さんの言葉。

『夢を実現するために、苦しいことを耐えて頑張る、というのではなく、目の前にあるワクワクすることから手掛けていく』
生きていくうえで、きっと正解なんてないから、できないことを頑張るより、できることから始める。
わたしにとって、今までにない考え方でした。

できないことに対して努力して、自分のできないこと、ダメな部分を埋めていく。
そう考えていましたが、それはやっぱり苦しいことです。
できない自分しか見えないのですから。


そうではなくて、自分ができることから始めて、楽しみながら進めていく。
そうしているうちに、知らず知らずの間に苦手だったことに当たるかもしれないけど、
それさえも楽しめるかもしれない、と思いました。






ビジネスだけでなく、これから生きていくうえでも大切にしたい考えを
教えてくれる一冊でした。




ぜひ、ご一読ください。




なぎさ