本のある暮らし

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【書評】“読みたいことを書けばいい” 田中泰延/自分に為に文章を書く

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こんばんは、渚です。





このブログを書き始めておよそ3か月が経ち、
本格的に『書く』ということについて勉強しようと
様々な本を読んできましたが、
心から、皆さんにお勧めしたいと思う本に出会いました…。






読みたいことを、書けばいいー人生が変わる、シンプルな文章術ー
田中泰延 ダイヤモンド社

読みたいことを、書けばいい。

読みたいことを、書けばいい。






ブログを書いている方や、
小説などを書いている方にお勧めしたい一冊です。










*『書く』ために本当に必要なこと*




本書の中で、
『テクニックは必要ない』と書かれているように、
文章を書く上でのテクニックやノウハウというのはほとんど書かれていません。
それよりも、文章を書く上での心構えなどの
『考え方』に関する部分が強く書かれています。





これまで私は人に響く文章を書くためにノウハウやテクニックも勉強してきましたが、
この本を読んで、一番大切なのは心構えや考え方ということを
強く感じました。






自分にとって書くことは『ただただ好きなこと』。
書くことによって、アウトプットすることによって
読んだ本に対する理解が更に深まる



それが、自分にとって何よりも楽しいし、嬉しい
更に本に向き合いたいと思う





本当に、そんな感じです。





ですが、ここで一度振り返ってみてください。



この本のタイトルは、

『読みたいことを、書けばいい。』




自分自身が

書きたいこと

ではなく

『読みたいこと』

を書く。





これを言われて、すぐにピンとくる方って
どれくらいいるでしょうか?





書くのが楽しいから書く。



あることについて、たくさんの人に伝えるために書く。






という気持ちも、凄く大切です。




では、そこからさらに


『読みたいことを、書く。』



とはどういうことでしょう?








この本を読んで、実践しても、
ブログでの収益は増やせないかもしれません
閲覧数だって、増えないかもしれません





でも、それ以上に大切なことを学べるはずです。






ー『読みたいことを書けばいい』から学ぶー

文書と文章は違う

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書きたい人がいて、読みたい人がいる(かもしれない)、それが「文章」なのである。

書きたい人がいて、読む人がいる文書のボリュームゾーンは「随筆」なのである。
(中略)
わたしが随筆を考察すると、こうなる。
「事象と心象が交わるところに生まれる文章」

事象とは、見聞きしたことや知ったこと。

そして、心象とはあらゆるモノ・コト・ヒト(事象)に触れたことによって生まれる書きたくなる気持ち。






このように、言葉を定義することで、ありとあらゆる本質が
はっきりしてきます。




そして、世の中の文章は、
上記で述べた随筆だけではなく、
事象を中心に記したもの
心象を中心に記したものもあります。




例えば、報道。
ただ単純に起こった事実を伝えれば
「事象を中心に記した文章」
になりますが、
起こった事実+それをみて思ったこと
を書けば、それは報道ではなくなります。




「事象と心象が交わるところに生まれるのが随筆」
という定義を見失って映画を評論すると、
事象寄りに触れてしまえば映画のあらすじばかり書く状態に陥るし、
心象寄りだと感想だけ書いて終わってしまう。

定義をしっかり持てば、自分がいま、何を書いているかを忘れることはない。


長い文章を書く際、この定義をはっきりさせておかないと
だんだん曖昧なものになってしまい、何を書いているかさえも
分からなくなってしまいます。




何かを書く上で、自分は今どんな立ち位置からこの文章を書いているのか
何度も確認していこうと思いました。





ターゲットは、想像しなくていい

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読み手など想定して書かなくていい。>>

その文章を最初に読むのは、間違いなく自分だ。



ありとあらゆる場面で見かける

『○○な女性に響く言葉』
『○○な男性を虜にする言葉』

これらは、いわいる「ターゲットを絞った文章」ですが、
特定の誰かに届けるというのは、とても難しい。


自分が書いて面白いと思える文章でなければ、
書いたことすら無駄になってしまいます。





さらに、この本ではこうも語っています。

つまらない人間とは何か。
それは、自分の内面を語る人である。

書くという行為において最も重要なのはファクトである。
ライターの仕事はまず「調べる」ことから始まる。
そして、調べた9割を棄て、残った1割を書いた中の1割にやっと
「筆者はこう思う」と書く。
つまり、ライターの考えなど全体の1%でよいし、
その1%以下を伝えるためにあとの99%が要る。
(中略)
調べたことを並べれば、読む人が主役になれる。



内面を語るばかりの人はつまらない。
実生活の中でも、あなたの周りにこのような人が
いるのではないでしょうか。


例えば、最近寒くなってきましたよね。
その時、
「今日に限って薄手のコート着てきちゃった~。さむ~い。」
なんて言われたら、あなたはどう思いますか?
もしくは、ランチの時に、
「うわ、キノコ嫌いなのに入ってる~。」
とか言われたら。


その人にとってはそうかもしれないけど、
こちら側からすれば「そうなんだ」としか思えないですよね。


これは、文章を書く上でも同じこと。



事象とは、常に人間の外部にあるものであり、
心象を語るためには事象の強度は不可欠なのだ。



この、事象の強度の為に、筆者は調べることの重要性
特に、1次資料にあたることの重要性を書いています。




まずは自分で調べて、そこから9割の資料を削る
そして、その1割の中に自分の意見を載せる




このスタンスをとることで
読む人が主役になれる
文章を書くことが出来るのです。




書くことは生き方の問題

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これまでに何度も触れてきたように
「書きたいことを書く」と
「読みたいことを書く」というのは
全く違います。




旅行に行って楽しかった思い出
カフェにいっておいしいものを食べたということ



これらは、基本的にその人が「書きたいこと」を書いたことで
「読みたいこと」を書いた文章ではありません。



もちろん、これを否定するつもりはありませんが、
「書きたいことを書く」というのは凄く楽なことです。
だけど、「読みたいことを書く」というのは本当に難しい。

最後に、こんな言葉が書かれています。

自分が読みたくて、自分の為に調べる。
それを書き記すことが人生を面白くしてくれるし、
自分の思い込みからも解放してくれる。
何も知らずに生まれてきた中で、わかる、学ぶということ以上の
幸せなんてないと、私は思う。

自分の為に書いたものが、だれかの目に触れて、その人とつながる。
孤独な人生の中で、誰かとめぐりあうこと以上の奇跡なんてないとわたしは思う。

書くことは、生き方の問題である。

自分ために、書けばいい。読みたいことを、書けばいい。


自分が読みたいと思える文章を書くことが大切になる
ということを改めて教えてくれました。


最後に

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誰かに認められるために書くとか、
わかりやすい文章を書くとか
そういうことではなく



「読みたいことを書く」




文中、クスっと笑えるような話もありながら、
ライターとしての覚悟、楽しさ、厳しさ
いろんなことを教えてくれる一冊。





多くの『書く人』に読んでほしい1冊です。




私もこれから『書く人』を目指す人間として、
この本を胸に刻んで努力していきたいと思います。




最後まで読んでいただきありがとうございました。