本のある暮らし

読書ブログ

【本紹介】なぜ僕らは働くのか

こんばんは。
10月に入り、今年もあと3か月となりましたね。
時間が経つのは一瞬。
一日一日を大切にして、いつの間にか歳だけとってたということが
ないように暮らしていきたいです。






現在、大学院に通っていますが、卒業するためにいくつかの講義を受講し、
先生から『単位』という、卒業に必要な知識を身につけた証をもらわなければなりません。
今学期は三つの講義を受けていますが、その中に労働経済学というものがあります。


労働経済学とは、

誰かを雇いたいと思う企業と、どこかに雇ってほしいと思う労働者が成す
労働市場」において、メカニズムを明らかにし、人々の幸福をより高めるための道筋を明らかにする

ことを目的とした学問です。

その中で、人が働くことの意味について、以下の4つを挙げています。

①生計の維持
②余暇の充実
③働くこと自体がもたらす満足
④社会への参加

働くことは、何もお金を稼ぐためだけが目的ではなく、人々の生活を充実させるために行うものです。





ところで、皆さん自身は、『自分が何のために働くか』について、考えたことがありますか?
生活のため、と思う人が多いかもしれません。
私も、少し前まではそうでしたし、それが当たり前だと思っていました。
しかし、今では、自分らしくいるために働くことについて改めて考えなければならない
と思っています。


今日は、『働く』ということについて考えさせてくれる一冊をご紹介します。









なぜ僕らは働くのか  池上彰監修 佳奈(マンガ) モドロカ(イラスト) Gakken











【あらすじ】『僕はこの仕事が好きだし、やりがいを感じられているから、幸せ者だなと思うよ』


私たちは、なぜ働くのだろうか。
働くことが私たちにもたらしてくれるのは、お金だけだろうかーーー。



中学受験に成功し、これからバラ色の人生が待っていると思っていたが、
現実はもっと上がいて、自分に劣等感を抱えてしまった吉田隼人
ある日を境に、学校に行けなくなり、母の実家がある広島へと引っ越す。

新しい地広島で、祖母と母、そして叔母と暮らしていた時、
叔母である優から一冊の本を渡される。
それは、『働くこと』について書かれた本だった。


『こんな自分でも大人になれるのか…』

そんな不安を抱えていた隼人の人生に、一冊の本が大きな影響を与える。



池上彰の、優しくもあり分かりやすい、働くということについて考えさせられる一冊。







【感想】




今や会社に勤めるということが当たり前ではなくなり、
世界各地で多くの人がさまざまな働き方をしています。

日本では、これまでは会社に入れば定年まで安泰と言われてた『終身雇用』が

崩壊しつつあり、もう、国や会社が自分を守ってくれる時代が終わろうとしているのです。



学校を卒業し、就活をして企業に入ること。
私も含め、きっと多くの人が当たり前と思っていたこの流れも、
これからは当たり前ではなくなるでしょう。




『ジョブ型雇用』という言葉がちらほら聞こえてくるようになりましたが、

皆さんはこれがどういうものか理解していますか?
私がメンターとしている岩田麻央さんというかたの書いた著書では、このように書かれています。

「求められているジョブ」に対して、正当な成果を出せば、給料が払われる。そのジョブが適切に行われないのであれば、そのポストは、その人に見合っていないという理由で、減額や降格、場合によっては解雇される。これが当たり前なんです。

(下記より引用)




香港や欧米の会社ではほとんどがジョブ型雇用。

所謂、成果型です。
岩田さんは日本でのサラリーマンも経験し、海外での仕事も経験されていて、
たくさんの経験をお持ちの方です。
私は海外に行ったことがなく、異文化に触れたことがないため、あらゆる本を読むことでしか
知ることがありませんでしたが、日本は優しい国だなと本当に思いました。




何となく、仕事に対して『嫌なことを我慢してお金をもらう』という考えが広がっているような気がしますが、
わたしはそうではないと思うのです。
確かに、仕事をしていれば辛いこともあると思います。
だけど、自分を見失ってまで働く必要があるのでしょうか?
本当に、今の場所に縋りつくしか生きていく方法はないのでしょうか?


そこまでして、会社は最後まで面倒をみてくれるのでしょうか?


昨今のコロナ禍によって働き方は大きく変わり、私たちの意識も変化せざるを得なくなりました。
今だからこそ、働くということについて改めて考えるタイミングではないでしょうか?





なぜ僕らは働くのか。
この本を手に取った理由は、当時これからの自分について考えていて、
今の職場で本当にいいのだろうかと悩んでいたからでした。


安定もしているし、職場の人たちはみんな優しい。
ここにいればきっと、ずっと安心して暮らせる。
だけど、自分は本当にこれでいいのか…?


そう考えていたのです。
働き方改革がうたわれながらも、巷ではまだまだブラック企業が根強く残り、
残業代の支払いなどが問題として残っている中で、私の会社はそんなことはなく、
きっちりとしている会社です。
周りの大人にも、『いい会社』と沢山言われます。


実際、いい会社だとは思うけど、私はこの会社にこれからもずっと居続けることで
幸せなのだろうか、自分の理想に少しでも近づいているのだろうか…。
こんなことを考えてしまう自分はダメだ、もっと会社に感謝しろと思う気持ちと、
もっと自分らしさを大切にしてもいいんじゃないかという気持ちでもがいていた時、
ふと書店で目にはいったのがこの本でした。
題名、表紙の絵、そして『君が幸せになるために考えてほしい大切なこと』という言葉に惹かれ、購入しました。





本自体は、中高生向けの易しい内容になっていますが、社会人として働く私が読んでも、
考えさせられる本でした。


どんな仕事だってこの社会の中で欠かせない素晴らしい役割を担っているはずで、それに気付いているか気付いていないかが、仕事のやりがいを感じている人とそうでない人の差なのかもしれない

なぜ僕らは働くのか 池上彰監修 Gakken(p.120)



どんな仕事も誰かの役に立っている。
それはきっと誰もが頭ではわかっていますが、分かったからといってすべての人が
今の仕事にやりがいを感じることはできないでしょう。
私の今務めている会社も、加工会社として幅広い製品を作り、世の中の生活で
欠かせない働きをする機械の一部として世界中にいきわたっています。
時には、宇宙に行くことだってある。
そこまで理解していますが、私はこの本を読んで、これから先何年、何十年今の会社にいたとしても
きっとやりがいは感じられないだろうなと感じました。



ならば、私がやりがいを持てるのは何なのだろうか。
そう考えていて、この本の中で好きを仕事にするという項目を読みました。



好きなことを仕事にする。
もしかしたら、他の人からは「何を甘ったれたことを」と言われるかもしれませんが、
自分の人生は自分のものです。
その責任はすべて自分に返ってくるため重たいものになってしまうかもしれませんが、
自分で責任を持てるのなら、私はそれでもいいと思うのです。




ただ、好きなことを仕事にするというのが、道が一つしかないと思わなければ、
広い視野で考えることが出来ます。
たとえば、本が好きな方。
本が好きでも、なぜ本が好きなのか?本のどんなところが好きなのか?
まで考えると、思ってもみなかった天職が見つかるかもしれません。
本が好き=作家になるといった狭い概念に縛られず、
好きな気持ちを深く深く掘り下げていき、柔軟に考えることが大切だと教わりました。



現在働いている方。
これから社会という広い世界への旅立ちが待っている方。



きっと、これからの自分に不安を感じている方もいるでしょう。
その不安に蓋をせず、今一度自分の本音と向き合ってみてください。



いつか、自分の子供が社会に羽ばたく日を迎えられるお父さん、お母さん方。
もしくは、学校という守られた環境から、旅立ちの日に背中を押す先生方。



小学生であれ、中学生であれ、高校生であれ、きっといつかは働くということについて
お子様が本気で考える日が来ると思います。
『働く』というのは子供にとって未知の領域で不安を感じるもの。
私も、働くということに対して、大学生になった時でも不安でした。
この本を手に、一緒に将来について考えてみてはいかがでしょうか。







ぜひ、ご一読ください。